京都府山城地域について

位置と概要

山城地域は京都府の南部地域に位置し、旧国名「山城国」のうち、現在の京都市を除く地域を慣用的に呼び、5市6町1村から成り立ちます。大阪府・奈良県・三重県に隣接し、近畿地方の中央部に位置しています。交通の便を活かし古くから発展してきた歴史的地域であるとともに、近年は、最南部に関西文化学術研究都市を擁するなど、今なお発展を続けている地域です。

歴史(室町時代~江戸時代)

〇 室町時代

南北朝の内乱のきっかけとなった元弘の乱は、笠置寺を焼失させ、南山城地域は戦場となりました。その中から国人と呼ばれる村に住む武士が台頭し、勢力を伸ばしました。15世紀後半の応仁・文明の乱は再び山城地域を戦場としましたが、国人を中心に結束した人々は、軍勢を追い出し地域の自治を行いました。これがいわゆる山城国一揆です。

〇 江戸時代

山城地域は豊かな農村地帯となり、木津川の水運を利用して、年貢米、木柴・薪・炭、柿渋などを伏見・京都に積み出し、肥料・塩・しょう油など必需品を運び上げました。また、宇治田原町の永谷宗円による煎茶製法の改良によって、お茶の栽培が急速に広がり、幕末期以降、煎茶はアメリカやイギリスに盛んに輸出されるようになりました。

特産品

〇 宇治茶

今から800年余り前に、京都栂尾高山寺の明恵上人は、栄西禅師から分け与えられた茶種を、求めに応じて宇治に植え、やがて宇治が茶の中心として栄えるようになりました。
現在飲まれているような日本緑茶の製法は、江戸時代に宇治田原の永谷宗円によって発明され、やがて、山城地域を中心とした地域で作られるお茶は、「宇治茶」と呼ばれ、全国にその名を知られるようになりました。
山城地域は、気象・土壌・地形などの自然条件が、お茶の栽培に適合しており、それぞれの地域性を生かして煎茶・玉露・かぶせ茶・てん茶など各種の茶生産が行われています。
煎茶は、おもに宇治田原町、和束町、南山城村などで生産が行われています。新茶を蒸して揉み乾燥させたもので、うま味と香りがあり、産地によっていろいろな特色があります。
玉露は、おもに宇治市、京田辺市、宇治田原町などで生産が行われています。玉露は、新芽が伸び出した頃、よしず棚などで茶園を覆い、直射日光が当たらないように栽培した葉で作った高級なお茶です。かぶせ茶は、おもに木津川市、和束町などで生産が行われています。かぶせ茶は、「こも」や寒冷紗といわれる被覆資材等で茶園を覆って育てた、旨味が豊かなお茶です。
てん茶は、おもに宇治市、城陽市、八幡市、久御山町、井手町、和束町などで生産が行われています。てん茶は、玉露と同様新芽の頃に覆いをして栽培し、蒸したものを揉まないでつくります。
石臼で挽いて粉にしたものが抹茶です。

〇 たけのこ

たけのこは、全国どこでも春の身近な食材ですが、シロコなどと呼ばれる良質なたけのこの生産を支えているのが京都独自の栽培技術です。
良質な親竹を選定して本数を限定し、薮には稲藁を敷いて土をかぶらせて、柔らかい土壌を作ることで、白くて柔らかいたけのこになります。
味に精通した都人とそれにこたえるべく努力する近郊農民との交流が、このような高い栽培技術を生み出したといえます。
木津川市や八幡市、井手町でもこの栽培技術によって盛んにたけのこが生産されています。
春の出荷時期、地元の市場には朝早くからたくさんのたけのこが農家から持ち込まれ、セリで賑わいます。